4万7千円だったから47Tele

November 9,2020 Camera:Panasonic GF-3, iPhone XS Max




その出会いは

動画の解説は最後に。

基本、コレクター癖があることは自覚している。が、Stratocaster派なオレは急激にTelecasterに憑りつかれていった。2018年ごろにEliteを買って、その弾き心地に満足していた。ただ、ノイズレスピックアップは素晴らしいがシングルコイルの音がしないことにも気づいていた。もっと暴れるギターが必要なのだ。結果、Fender Selectを2本(うち1本はThinline)買ったのだが。もうちょっとワイルドなテレキャスターが必要だ、と思いこむようになった。以前、まともにギターを買うために各種サイトを巡回するようになっていたが、今度は「なんだか変なギター」を求めて、中古専門で巡回するようになってしまった。

病気でもあると思われる。

巡回の結果、こんなのを発見。これは当時のヤフオクに掲載された画像だ。
おお。この、くじ引きのような、当たりはずれの大きそうな個体。買ってまともに音が出る気がしない。でも、インテリアとして4万7千円なら、買っちゃえ!ということで、中小企業診断士の2回目の2次試験(トータル3年目)で失敗したオレは自暴自棄になっており、思わずこの個体を落札してしまった。ただ、まともに音がでなくても作り込みの、寵愛の対象として面白そうだと思っていたからこそ落札したんだけど。なお、取引相手の方はたいへん誠実にご対応いただいた。なにせ、ネックの状態など細かい寸法を教えてくれと無理なお願いをしたからな。すべて、完璧に答えてもらった。ありがとうございました。ということで、4万7千円で買ったギターだから、47teleと個人的には命名している。紛らわしいが、西暦では47ではまだFenderではブロードキャスターも発売してないからな。
さあ、現物がやってきたぞ。見たところ、ほぼ想定通りだ。非常に格好良い。ただ改造前提のギターの場合、どこ産の製品かで使われているパーツの規格が違うので、注意が必要だ。簡単に言うとアメリカ、メキシコならインチを基準とした部品が使われている(うちはFender USAしか置いてないので、部品在庫はすべてインチサイズ)。が、日本製だとミリ規格になるため、互換性がない場合がある。インチの方がものが大きいので、インチに合わせたものを持っておけばだいたい無理やり使えるが...。もちろんその逆もある。結果、ジャックプレートの穴が小さく、インチサイズが使えないことが判明したりしてね。また、わかっているのだがネックポケットのサイズが56mmと少し広いようである。

早速、生音と、またRoland Blues Cubeに突っ込んだ音を確認する。おお、悪くない。ネックなどもプレイ上問題ない。ただ、音がなんだかトレブリー過ぎる。低音がイコライザーでカットしたかのように出ていない。ただテレキャスターらしい、鈴なりというか高音がキラキラするところだけはある。また、ナットが浮いているとか、ペグが錆びすぎていて弦が上下に滑らない(チューニングができない)、またオクターブチューニングと弦高が不明状態?で、マニアックな改造な割には素人さんが使っていた?という二面性のある個体だ。これはこれで面白いじゃないか。内部のサーキットを確認しても、ハイパス用コンデンサーが装着されている(ふつう、テレキャスターは付いているという見方もできなくはないけど)。

さあ、それでは改造本番に入って行こうか。
この、山のような部品群がたまらないわけだ。買い集めるだけで満足してしまった。さて、今回の構想は①ブリッジ ②ピックアップ ③ネックプレート ④ネック ⑤電気周り全般 の手順にすることに。ではまずブリッジだ。

①ブリッジ

ブリッジは、今回はGotohのサドル6個タイプにしようと思っていたが、「ギターワークス」のオリジナル商品が実質中身は後藤ガットのものと思われつつ、良さそうだったので購入。オリジナルは120グラム、ギターワークスはその倍の240gだ。
装着そのものは特にテクニックは不要で、ただしプレートをボディに留めるボルトがサドルに隠れるので、着脱のたびにサドルを外さねばボルトにアクセスできんのがちょっと面倒。だが、これも慣れたものじゃ。なかなかこのブリッジ、美しいぞ。特にテレキャスターはボディに弦の振動を伝える割合が高いパーツなだけに重要だ。替えてみたところ、音が太くなった。生音自体が太い。これはブリッジの重量もあるが、もしかしたらブラス素材の柔らかさによるものかもしれんな。いや、固い方が素直に振動を伝えるが、柔らかいので無駄な高い周波数がカットされるというか。テレキャスターに取ってブリッジ変更はかなりインパクトがあるので大胆かつ慎重に選ぶ必要がある。また、サドルが3個タイプだと一つの振動量が大きいと想定され、6個タイプだとそれが薄まる可能性があるので、これも3個タイプの同レベルの製品で書くべきかも。オレはオクターブチューニング重視だから、こっちにしちゃったけど。それはさておいてこの変化は素晴らしい。

https://www.guitarworks.jp/fs/guitar/gold/1595-g

②ピックアップ

オレは90年から(30年間!)Fender USAしか使っておらず、それらに不満がなかったのでピックアップを替えるという発想がない。しかし今回は交換前提。Youtubeで見ても、エフェクトがのっていたりすると正直ピックアップの差がわからず...よって、今度はギターワークスではなくサウンドハウスの、皆さんの口コミ、インプレを参考に考えてみた。パワーがあり、しかし枯れた感じがあるものを探してみたら、どうやらこれらがよさそうだという結論に。

SEYMOUR DUNCAN STL-2 Hot Tele Bridge (STL2)
SEYMOUR DUNCAN STR-3 Quarter Pound Tele Neck (STR3)

この、組み合わせとした。先に書くと、使ってみてとてもよかった。さて施工じゃ。最初に、死んでないかの確認で、テスターで抵抗値を見る。抵抗値がデカい。抵抗値がデカいのでテスターの導通チェックでは導通していないことになる。抵抗デカい=パワーがあると思っておるのだが、その通りだった。とにかく、断線はしていないことをチェック。
ピックアップ自体はこんな見た目だ。緻密な雰囲気が漂ってくる。さすがセイモアダンカン。このパッケージも、少しマニア心をくすぐる感じ。マニュアルもちゃんと入っていて、配線についての説明や他のピックアップとフェイズが違ってしまった時の対処などが書いてある。

今回は、パーツをすべてゴールドに統一しようと考え、ネックピックアップもゴールドタイプを探したが、たまたま品切れ。で、無理やりフェルナンデスのゴールドカバーを購入し、交換してみた。セイモアダンカンのシルバーのカバーを外すんだが、はんだで留められているのでそれをまず取る。その後、動かないが「ろう」で固まっているので、じわじわと力を加えて外す。ちょっと蝋がとれちゃったが、新しいカバーを綺麗にかぶせ、はんだ付けする。よし!
ところで、もとのピックアップはハイは良く出ているんだが、これも他の部品同様どう使ったらこういう汚れ方や変化が現れるの?という感じではあった。特に画像の下側、ネックピックアップはそもそもマウントがぐらぐらだし、なぜか1弦のポールピースだけ落ち込んでいる(裏は飛び出ている)。手で押しても、簡単に戻らないので、意図的だったのか?それとも?
ところで、電気系はセオリー通りの配線がされている。ちょっとジャックの勘合が緩いのが気になる(性格的に、そういうのはライブで抜けるからなおしておきたい)。加えて前述通りハイパスフィルターのコンデンサが付けられている。これは効果が出ている。
はんだは、ここしばらくこの音響用とやらを使用。今回もたくさんはんだ吸い取りを使いはんだをを外したな。買い増ししなきゃ。

今回の個体はいくつか悩ましいところもあったが、その中の一つ。ザグリの間を結ぶ、ケーブルを通す穴が全部細い。細すぎる。今までも、よくこんなところにピックアップの線を通していたよね。でもまあ、慎重にケーブルを通すことで無事ケーブル貫通。ぎりぎりすぎるw
無事、通ったぞ。ということで施工完了。後述の状況で、再度配線しなおすんだけど。さてコントロールプレートも新品に変更。関係ないけどストラップピンもゴールドの新品を奢る。

③Neckplate

小ネタだが、ネックプレートだ。これはボルトを抜いて付け替えるだけなので、テクニカルなことは特にない。が、木ねじってデリケートだから、木を壊さないように、逆回しして入れ込んでいくポイントを探ることが大切。本当はトルク管理も必要なのだろうなあ。
さて重量は40→52gだ。正直、あまり重量的な変化はない。また、後述の動画でもわかる通り、「弾いている本人はその変化を感じるが、音にするとほとんどわからない」のが実態。なので、目指す音をイメージしながらその中に組み込むかどうかを考えればいいと思う。でも、変化を楽しむのなら、3mmを買って付けてもいいんじゃない?2mmだと効果は限定的だ、というのがオレ個人の意見ね。

④ネック

さてネックだ。実はついていたネックそのものには、それほど不満はなかった。だが、替えてみたらとてもよかった、という事例だな。元のネックは、それほど大きな問題は本体にはないのだが..
ペグ(Tuning machine)が古くて錆びていて、弦がその上を滑らないのでチューニングしにくい状態。これはネックではなくペグの問題だけど。また、ナットが浮いている状態で、修正したい感じ。フレットは思ったより残っているし、ネック自体まっすぐで、悪い状態ではない。が、せっかくなので?替えちゃおうという作戦に出た。
今回はFender MXのヴィンテージタイプのサポート部品を入手。これ、3万円くらいかな。他にロースティッドメイプルやらローズやらあるが、これが一番安い。壊しちゃってもいいか、みたいな。ただし、こいつを装着するには、元のギターの精度が凄くて。一番インパクトがあったのが、この画像だ。
何が正しいのか?なんて、つまらない話かもしれない。基準は、人それぞれだ。しかし、しかし。もう少し、こう、ギターのネックにあるねじ穴ってやつぁあ、左右対称にあると誰しも思わないかい?え?衝撃的だったよ。うわー!こんなにずれてる!新しいネック、絶対そのまま付かないじゃん!
ところで、フェンダーのネックには説明書が付いている。アメリカ、メキシコなら55.6mmの幅で規格化されているから、押し込んだらすーっと入る構造だ。今回は残念ながら謎のボディだからそうはいかなかったけど。いい感じではまるのだが、0.4mmと思われる隙間があり、ネックを上から見て右方向に動かすと動いてしまう。
よく見るとわかると思うが、どうやら穴の位置がおかしなことになっていたようで、これを一度修正した形跡がある。そりゃまあ、仕方ないわなあ。見た目危ういが、ぐりぐりいじくっても問題はない。また塗装はもともとブロンドカラーだったみたいだね。一度はがして、その後オイル塗装?をしたのではないか。一応平面は出ているので、工作上は問題ない。
ネック交換のもう一つの理由は、最近ちょこちょことトラスロッド調整をすることがあって。ヘッド側にトラスロッドが出ているのが好きなんだよね。ネック外すの面倒だもん。今回のスペアネックはヘッド側だし。ただ、USAとレンチのサイズが違う。共通部品使ってるんじゃないの?

さあ、続いてナットだ。これは最初からこのネックに仕込まれているナット。一応は目安として切るべき場所に切り込みがある。周りをマスキングテープで養生して、専用のファイル(やすり、ね)でナットを削っていく。フレット側を高く加工するのだが、オレ変なところで臆病で、ごりごりと掘り下げられなくて。だから今でも少し高いまま使っている。削りすぎると交換しなきゃならないから。さらに具合が悪いことに、ナットの接着がイマイチで、途中で割れて脱落しやがった。汗 戻して接着したら普通に使えるようになってよかった。また部品手配するのもなと思っていたので。
ナット加工があらあらで出来たら、そこから先は弦を張らないと調整度合いがわからないので、そのための準備で続いてフレットすり合わせ。あとではがしやすいように、これもテーピングテープで養生。
ネックを開梱した時に気になっていたんだけど、ネックが逆反りだった。トラスロッドをぐりぐり回して、ネックをまっすぐに調整。定規を当ててまっすぐかどうかを確認していく。よしよし。
さてすり合わせをやるのだが、ちょっとすり合わせしすぎちゃった...オレ初めてやったんだけど、フレットって簡単にペーパーで削れていっちゃうんだよね。だから、すすっと撫でただけで凄く削れちゃって焦ったという...なんと、早くもフレット打ち直しか?みたいな。色んな解説サイトもみたけど、「思ったよりフレットは削れていっちゃうので注意」だね。一度経験すれば大丈夫だな。その後、耐水ペーパーで仕上げる。本来は専用のファイルでフレット上端を整えねばならんが、それを無理やりペーパーでやってみた。うまく行った。
あらかたやったところで、ヘッドにマシーンを装着。これはフェンダー5本中2本に使っている、フェンダー純正ロックペグだ。使い勝手が良くて気に入っている。この状態で、ネックを仮に装着して1弦と6弦を張る。ネックが左右(というか上下というか)に動いてしまわないかチェックする。この状態で、ネックとボディの接合を確定させるわけだ。前述通りネックは55.6mm、ネックポケットは56mmで、0.4mmの隙間ができる。ここを確定させないとネックの接合場所を確定できない。
それを想定して、本来はネックの仕込み角度調整に使うシムを多めに調達しておいた。思ったよりネックはかっちりと最初から入るんだが、やっぱり無理に動かすと動く。その他の場所の接合具合は悪くない。シムは0.25mmと0.5mm。最初はこの隙間に0.25mmを入れてみたが、ネックがまだ動く。0.5mmを入れるとネックが入るかどうか...ぴったりはいった。素晴らしい。ここで場所は確定させる。
よし、この状態だな。ここで、ボディの裏側のボルト穴から、新しいネックに場所を借りでマークする。この時点で決めてもいいのだが、現在のねじ穴とどれくらい離れているかを確認。
この画像の、3つの穴の下側に丸い後が出来ているが、それがその位置だ。ということで、この穴を埋めることにする。穴はちょうど直径3mmなので、3mmの木材を入れて、タイトボンドで固める。その他のボンドでも精度がきっちり出ている穴と木材ならよいが、固まったあともゴム状のものが国産では多いが、このタイトボンドなら固まった後硬度が高いので、切削が可能だ。これは大切なポイントかも。最初、木工用ボンドでやろうとしてたけどタイトボンドを買いなおしたもんな。
一晩経過してボンドが硬化したら、ネック裏面をやすり掛けして平らにする。余計なところは削らないようにこれも養生。

ここで、再度先ほどやった位置出しをやる。ふむ、当初と同じ場所だな。
ががががが。ドリルで穴。本当はドリル盤があればベストだが、家庭にそんなものはない(知り合いのテシマさんちにはそれがある。笑)。できるだけ垂直、正確に。また材料が動かないように、またドリルが変に暴れないように慎重に。穴の深さについてはドリルの刃にマークを付ける。
よし!いい出来だ。
その勢い?で、ストリングガイド用の穴、2mmの10mmを開ける。この後は弦を張って、ナットをさらに調整して、いったん完成!

この状態でもよいのだが、ついつい電気系も揃えてしまった...ポット、現在のはトルクが凄く重いのとガリが出てきているため、ボリュームはヴィンテージのトルクが軽い250kΩ、Bカーブ。トーンはあまり動かないようにトルクが重いCTSのBカーブ。ボリューム奏法を考えてBカーブにしてみたが、結果はAの方がよかったかな、という感想だ。また考えよ。そしてハイライトは4wayスイッチの導入だ。現在使っているFender Telecaster EliteがS1スイッチなるものを装備しているが、それと同じで2つのピックアップの直接回路が作れるというもの。S1を積んだEliteと比較してみたいと思ったから。
まずははんだ吸い取りをして今の部品を外してしまう。そしてハード的に木工系から入っていく。今までのジャックは、コンタクト接点が多いタイプに変更。またジャックプレート部分も改造。
ということで4wayスイッチ登場。

ちゃんとマニュアルが入っている。この図と、セイモアダンカンの図の双方を見ながらはんだ付けをしていく。いるのかいらないのかもよく理解していないが、ネックピックアップのケースへのワイヤーを切り、ここからケーブルをGNDに持ってこなくてはならない。指示通りにやる。あとはひたすら図面通りに配線。
で、一緒に配線したかったんだけどそれもできなかったので今からGND用のケーブルをもう1本はわす。ふー、なんとか通った。
ポットへのはんだ付けって、いつもいも半田になる。温度が上がりにくいからとわかっているが、ついでに表面を磨いておく。今度は半田が解けすぎてちょっと仕上がりが汚くなったが、導通チェックして、ギターアンプに接続して、確認後プレートを閉じる。
完成!しかしネックと部品代で5万ちょっと、結局10万円になってしまった。これなら、最初からFender Tele American Standardあたりの中古を買っておいた方が良かったかもしれないが、音作りの面で収穫が大きく、またこのルックスがたまらん。思ったよりボディの色が濃いので、ゴールドパーツが映えないのは反省点だけど。これならシルバーのルックスでよかったかもしれん。
本物の?Fenderとおそろいで。ここまでも楽しめたけど、音の面でなかなか楽しませてくれそうだ。
これらを延々と並べて演奏すると、冒頭の動画になるわけだ。

動画はどのパートも軽いコンプ、リードにクランチだけで他エフェクトなし、イコライジングなし。よって、音の変化は純粋にパーツの変化によるもの。見ての通り、ネックプレートは本人の手応えの割には音の変化がなかったが、ブリッジ、ピックアップ、ネック、電気系についてはどれも変化が大きかった。構造的にはブリッジ変更による音の変化は追及し甲斐がありそうだ。また、トータルでの影響を考えるとピックアップの変更は大きい。ネックは大手術になるので、気軽には出来んなあ。また電気系は、配線そのものというよりはポットの経年劣化のカバーの面が大きいと思っていて、本質的な音の変化ではなく「劣化した音が戻った」という解釈だったりする。

あと、4wayの直接接続?は、パワーがある。歪ませない方がその差がよく分かるね。お試しください。